2012/11/03

旅後記4:NYC、油断大敵について

 

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「無事帰ってきたなぁ~~」

南米から空港につき、電車でNY市内へ着いた瞬間に思わず口に出た。ペンステーション前のタクシーの列の混沌も、やかましいクラクションの洪水も、ストリートベンダーの肉の匂いも、店員の無愛想な接客も、みんなみんな懐かしくってうれしかった。

 

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でも、本当は帰って来てはいないのだ。旅はまだ途中。浮かれ気分で勝手知ったる街を闊歩しながら、あわてて自分を戒める。

「旅はわらじを脱ぐまで」

NYだから大丈夫なんて思っちゃ行けないぞ。きっと何かが襲ってくる。襲ってこなくても、何か起きる。気を引き締めろ。

 

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旧友からある話をを聞いた。日本からの知人が、実に日本人らしく着飾ってNYやってきた。彼女らは女性誌の切り抜きを持っていたらしい。『今やブルックリンがオシャレで新しい』的な記事。彼女達はそれにのっている店を巡り、夕飯には掲載されたレストランに行ったらしい。それが、偶然僕が食べに行ったBEDSTUYのピザレストランだった。

 

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彼女らはレストランへ行く道すがら、地元の若者らにからかわれたしい。別に実害はなかったらしいが。でもここはブルックリン、それもBEDSTUYですので。そもそもブランド品で固めて、旅行ガイドを持って行くところじゃありません。書いちゃう雑誌も無責任だが、本人達が油断してたんだろうな。

 

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みんなNYCが安全だと言い過ぎじゃないか?そりゃ昔より格段に安全だが、日本の基準とは違う。安全になったハーレムだってローアーイーストサイドだってブルックリンだって、色々あるし。

 

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遠足は家に帰るまで、とはよく言ったものだな、なんて言ってたら、巨大な奴がじわじわ襲ってきた。ハリケーンだ。

 

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直撃直前の便で、満席。でもあと1日ずれてただけで、ハリケーンに巻き込まれ、4~5日は帰れないところだった。後で聞いたら泊まってたホテルも4日間停電だったそうだ。停電の18階で4日間。無理だ。まさに油断大敵である。

 

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飛行機といえばいつも思うことがある。

 

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なんでトイレに行ったときに限って、それも大の時に限って揺れ出すんだよ。すぐには席に帰れないんだよ。油断大敵だ。

 

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あとちょっと。

「携帯はお忘れじゃないですか?」

タクシーには携帯の忘れ物が多いそうだ。確認。

 

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やっと家に帰り着き、一安心。遠足終了。

 

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旅から帰ると翌日はいつも、地元の砂浜に。波立ち汐の香りが立ちこめるこの海の彼方に行ってきたんだ。アルゼンチンもウルグアイもは地球の裏側だけど、この海はつながっている。

 

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毎度、旅のわらじは脱ぎ捨てて思うのは、日本も悪くないってこと。

 

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コロニアの水平線と静かで優しいラプラタ川もよかったけど、やっぱり僕にはこの海の方がいいな。

ただいま。

+++

ご愛読に感謝

今回の旅カメラ
SONY Cybershot TX20(大多数。防水)
Fuji FinePix f800exr(暗いときや望遠)
Fuji FinePix X10(本気の時)

 

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2012/11/01

旅後記3:モンテビデオ、または悪天候について

 

 

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今回のモンテビデオほど悪天候に悩まされた事はなかったと思う。雨だけならまだしも、豪雨で強風。台風ではないけれど、それでも傘は役に立たない。おまけに車の旅でもない

 

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こうなると僕の旅のテーマといってもいい散歩が出来ない。あきらめて観光スポットにタクシーで向かったりするのだが、これが味気ない。

 

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本来なら歩ける距離をわざわざタクシーなんて、もったいない。せめて路線バスだが、乗り方がわからない。路線なんかどのガイドにも書いてない。スペイン語が出来ないから聞けない。ホテルの人もバス路線なんか把握しきってない。(観光案内所なら英語で教えてくれます)

これが室内の観光スポットが豊富な街なら色々すごしかたもある。ここモンテビデオはウルグアイの首都で都会なのだが、、いわゆる室内観光があまりなさそうだ。これがパリだニューヨークだとなれば、いくらでも室内で楽しめるんだが、、、、

 

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唯一興味を引かれたのは旧市場の食堂街。雨でも問題なし。ここで名物のアサード(BBQ)を食べたかったので、それもまたよしだ。

 

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困ったのはその後。結局雨は強くなる一方で、風は吹き荒れる。無理をして歩いて見たが、全身が濡れカメラまで水浸し。防水カメラなので問題は無いんだけど、、、靴が危ない。

 

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美術館も博物館も調べたが、雨の1日をつぶせる程のものがない。本来ならこの旧市街地自体が一番の観光地で、ここを一日ぶらつく予定だったのだが,これだけ雨が強いと街には出かけなきゃいけない人しかいない。

 

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そうなると目につくのは警官とガードマン。雨でも嵐でも彼らは配置について任務遂行中。大統領府が近いことと観光の重点地区なので、警官が多いのかも知れないが。

 

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あとは配達の人、店の人、諦めの悪い観光客がボチボチ。肝心の旧市街の雰囲気がまったく別物だ。このあたりにいるはずの観光客の群れも、道端の土産物売りももちろんいない。だから僕の見たモンテビデオは、とっても寂しい街だった

 

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結局は外が見えるカフェか何かで本でも読んでいるしかなかった。それでもホテルの部屋よりはましだ。あ、食事とコーヒーは美味しい街でした。基本、ハズレなし。

 

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翌日は雨が上がったが風が暴風に変わった。雨でなく川から巻き上げられた水でレンズがびしょ濡れ。ラプラタ川沿いの遊歩道やビーチや岬が観光の目玉なのに。

 

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ここにいるだけで体が飛んだ。飛びそうではない、飛んだ。あわてて逃げ込んだ旧市街地はもっと危険。この暴風で大きなソテツの葉や折れた枝が人に直撃していた。はては板きれやブロックみたいなものが旧市街地には飛びちってる。これは危険どころか生命の危機でしょ、あたったら。

 

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荒天2日目ともなると、人は賢くなる。バスの乗り方を学び、ショッピングモールへへ。いくつかあるうち、ビーチエリアのモールへ。

 

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そのバスの車窓から見たモンテビデオの町は楽しかった。旧市街が新市街になり、やや荒れたエリアを通り、マンション街を抜けて、気づけばリゾートっぽい街に。

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たどり着いたモールですが、強風でガラスが割れて危険なため、一時封鎖中。もうこうなるとコーヒーでも飲んで再開を待つか次の展開考えるしか無い。けっきょく小1時間で営業再開はしたけど、モールはがらがら。もう運もつきた。

 

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帰国便直前になって、やっと晴れたけど時すでに遅し。結局モンテビデオはよくわからない街のままでした。

今回の悪天候から学んだことは、1に博物館、2にショッピング、3に車窓見学、4に飲食。そして究極的には諦めるしかない。人は天候には勝てないってことだ。

旅に出る時は、ガイドブックの他に文庫本をお忘れ無く。

 

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2012/10/31

旅後記2: コロニアデルサクラメント、または食について

 

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ウルグアイってどうやって行くんだ?

日本から直行便はない。隣国から飛行機か長距離バスがある事は、調べずともわかる。でも調べたらブエノスアイレスからの高速フェリーもあるらしいので、これを選んでみた。でも実はフェリーが一番一般的なウルグアイへの道らしい。ブエノスアイレスの対岸が、世界遺産の町コロニア・デル・サクラメントだ。

 

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眼前に広がるラプラタ川は巨大なので、横切るのに高速船でも1時間、普通船なら4時間かかる。写真の左上の十字部分あたりを横切るのでの話だ。河口はもっと巨大。

 

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フェリーに乗り込んですぐの衝撃はこれだ。窓際のマテ茶セット。日本でもペットボトルのマテ茶を売っているが、本物はこうだ。専用カップには茶葉がたっぷり入っていて、お湯を注いで茶こしのついたストローで吸う。フェリーに乗った瞬間から、もう飲み始めている。ウルグアイ人はこの、マテ茶セットを本当にどこへで持ち歩いている。基本はグループで回しのみ。ブエノスアイレスではあまり見かけなかった。

 

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歩きながらなんて当たり前で、揺れる長距離バスの中でも回し飲み

 

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カフェで回しのみ。持ち込みも可らしいが、カフェのメニューには見あたらなかった。

 

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小脇にサーモスを抱え、手にカップを持つのが一般的らしい。すべてをきれいに収納するケースもあった。

 

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この右の棚はすべてマテ茶の茶葉。とにかく彼らは老いも若きもマテ茶ばっかり飲んでいる印象だ。もちろんコーヒーも飲んでるけど。

 

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そういえば昔の日本って、田舎に行くと道端でお茶を入れて飲んでたよね。仕事の途中だったり、なじみの店先だったり、立ち寄ったご近所だったりで。

それが知らぬ間に日本では便利な缶やペットボトルのお茶にかわり、ゆっくりすわってお茶を入れる時間の使い方がなくなった。ウルグアイもそうなって行くのだろうか??僕のウルグアイの印象を一言でまとまれば、マテ茶である。

 

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ウルグアイでもう一つあげるとすると、、、

 

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肉である。さすがに牧畜の国ウルグアイ。もうマテ茶と肉のことしか考えてないだろうってぐらい、肉食だ

 

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巨大な網の上で、牛を丸ごと1匹焼いてる感じだ

 

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肉屋だってド~~ん

 

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僕は肉好きだと思ってたけど、きっとウルグアイの定義ではベジタリアンなんじゃないか。野菜なんか食っちゃって。

 

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肉が多すぎてうんざりで、途中からは野菜が旨かった。

 

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マテ茶は繊維が多く飲む野菜だそうだから、豪快に肉を食ってゆったりとマテ茶飲む。それがきっとウルグアイなんだな。

 

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少なくとも田舎で平和なコロニア・デル・サクラメントでは、マテ茶とともに時はゆっくりと流れ、

 

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太陽もスローモーションで暮れてゆきました

 

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そしてゆったりとした夕食

 

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日本が忘れた、ゆったりとした時間がここにはありました。何もしないで、マテ茶でも飲みながら、長く滞在したい町でした。

 

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