おことわり
これは軟弱な筆者が、友人のベテラン山男に連れて行ってもらった旅日記です。正確な山行記録ではありません。大げさな表現や演出、また記述に不正確な部分もございます。 実際の登山計画の参考にはなさらないでください。また重太郎新道は一般ルートですが、毎年事故が多発するルートでもあります。経験の浅い人だけの登山には向きません。山は自己責任ですので、そのおつもりで。
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5時、山小屋では多くの人は起床してドタバタしている。山って場所は実に夜型の僕には似合わない場所だ。とはいえ、太陽には限りがあり、夕方は天気が崩れやすいし、日没後は危険だ。そうなれば早起きは3文どころか命の得である
上高地に目をやると、霧が大正池方面に立ち込めています
忘れておりましたが、万歩計は10630歩よりです。なお、今回も万歩計はザックについておりますので、山小屋到着後はカウントしておりません。
「今日も天気はよさそうだ」と山男Fジイ
これから登る前穂高方面も良好
朝食はしっかり食べましょう。なにせこれから急登の重太郎新道を山頂まで往復します
小屋のお弁当を持っていきます。
食後荷物を整理しトイレに行って、出発。この時点で5時50分
まずガレ場を渡ります
岳沢のテント場はこちら側にあります
まだエンジンのかからない私、、、
さあ重太郎新道、登攀開始。前穂高岳3090mの頂までのコースタイムは3時間30分とあります。距離はたったの2.5kmなのに、高低差は920mあります。
まずはこの斜面を蛇行して登ります
振り返ると上高地と北アルプス南部の山々
草原が終わると岩だらけになります
どこにあるのよ、道??
ここでさっそくドーピング
え~~、悪路ですが、、後で振り返るとここが一番歩きやすい部分でした
見ておわかりのように、斜面は上に向かうと急に切り立ってきます
ね、切り立ってるでしょ
最初の名物のはしご登場。いよいよ重太郎新道が本調子に。ここまでは足慣らしでした、、後で思えば、、、
一人が登り終わるまで下で待ちましょう。(本当は真下は落ちてくるかも知れないからダメよ)
長いけど、はしごは楽です。
つづいてはしご
樹林帯の中の岩場をひたすら登ります。無駄はないな。詳しいことは文献で見ていただきたいのですが、穂高岳山荘の創立者の今田重太郎氏が昭和26年に切り開いた道だそうです。
よくもこんな場所に道をつけたな、重太郎さん
きつい。うらみますぜ、感謝しますぜ、重太郎さん。
最初の目印、カモシカの立場に到着。標高2520m。小屋から350m登りましたが、行程的にまだ三分の一です
ここからは眺めがよろしいです
山頂すら見えません。あの岩が向き出た場所を登るんだよね
登坂再開
斜面にへばりつくような道です
西穂高岳、焼岳方面
鎖場です。鎖が無くても登れますが、覚悟しろと言う目印です
風景はあまり変わらないけど、眺めは最高
もうこんな場所ばかりで慣れてきました。でも登りだから涼しいことが言えます、下りは怖いぞ~~~、足元見えないから。あとで下るんだけどね、僕も
落石注意です。実際、落ちます。人が多いですので注意です。
だんだんと周りの木が低くなりました
僕の体力も低くなってきました
7:40、2時間弱で岳沢パノラマ到着。標高2670mですので小屋から500m登りました。ついに森林限界を超えました。
森林限界を超えると言うことは、荒天だと大変な場所と言うこと。晴れてて良かった。そして森林限界を超えるとギャグが冴える山男Fジイ。聞き手の血中酸素が減ると、ジョークが冴えるようです
山頂がはっきり見えてきました。まだまだ遠いけど
日が当たり出して、気温が上がってきました。今日は天上界でも猛暑日なので、暑くなりすぎると問題ですが、まだ大丈夫
距離をとり、落石に気をつけて歩きます。
ここからは常にこの眺望を背負って歩きます。贅沢だ
頂上らしき頂が見えてます。岩っぽい部分が道だと思ってください。
雷鳥は不在だったけど、雷鳥広場です。標高2820m。
どんどん高度を稼いでいきます。この点では重太郎新道は無駄がなくてよろしい
その割には頂上が近づかない、、、、(写真は望遠です)
ただし、けっして気を抜けないのは、このふきんは谷に傾いた岩が多く、すべりやすそうです。濡れてたら、こわそうだ
不気味にへしゃげた梯子。この左から上がってきて、梯子を降りました。ここまでくれば、紀美子平はすぐですが、、、、
高所恐怖症ではないのですが、振り返るとちょっとすくみます
ここからがつらい鎖場の連続。確か3連続
そしてここが核心部らしいです。
知らぬ間に、明神岳の高さまで上がってきました。鞍部から南アルプスが見えています
遠くに見えているのが南アルプスです
こんなところにも花が
どれがなんという花かわからないんですけどね、、強いな君たち
さて、紀美子平への最後の鎖場の順番待ち中。というか、だれもが息が上がってつらいのでゆっくりです。それに危ない部分ですし、せかしません。
9時過ぎ、2920mの紀美子平へ到着です。3時間少々なので、ほぼほぼコースタイム通り。ここが奥穂高岳方面の縦走路と前穂高岳方面の分岐です。息は上がってつらいけど、まだ頂上は先です。ここまでくればあと30分らしいっす。
Fジイが見ているのは奥穂高岳とそこへつながる吊り尾根
前方遠くは乗鞍岳、その前に右が焼岳、左が霞沢岳、谷間が上高地です
こちらが西穂高方面の稜線。エキスパートコースです。僕はお呼び出ないです。
そして再び奥穂高岳3190m。日本3位の山です。僕らは2年前に逆側から登りました。あの日も快晴でした。(そのたび日記はこちら)
大休憩は頂上でだそうです。登り再開です。多くの人は紀美子平にザックを置いて、水だけ持って登ったりしています。しかし我々はフル装備のまま登ります。それがFジイの登山らしいです。(本当は入れ替えが面倒くさいかららしい)
西穂高方面にはレスキューヘリが。お世話にならないように慎重にいきます
あとちょっと、と思いきや、実はけっこう前穂の頂上は遠く険しくつらいです
頂上付近で渋滞中。槍ヶ岳ほどじゃないですけどね
すでに標高3000mを超えております。今回は、前夜が中腹の小屋泊まりだったので、空気が薄いのが感じられます
あそこが頂上!
前穂高岳、3090mに到着!日本で11番目に高い山です。時刻は10時過ぎですので、4時間少々。紀美子平での休憩を考えれば、最後でてこずりましたがまあまあ悪くないタイム。
おきまりの記念写真。バックは奥穂高岳。僕は軽く頭くらくら。シャリバテと高山病が襲ってきてる感じです。「奥穂高にもついでに登ろう」的な計画もあったのですが、この時点で「え?聞いてない」と意識的に忘れております。無理っす!
上高地から16649歩、岳沢小屋から6019歩ぉ?たったそれだけか?高低差が920mだから、1段15.2cmの階段を6019段か。まあそんな感じだな。
あ、山ねずみ!
今回もネコのお土産用に、前穂高岳山頂でネズミを捕獲。
背後には槍ヶ岳が見えております
眼下には昨年泊まった横尾山荘
めずらしく山頂でFジイがせかさないのは、天気が安定していて風がないからと、下りへの体力回復を待っているからのようです。Fジイ、写メ中。なんでお前さんはカメラを持たないんだ?
こちらは南アルプス側。雲がかかって見えずらくなっちゃいました
こんどはFジイが写メを送っております。山頂は少なくともドコモとAUは通じました
めし!とにかく休んで回復して、下りに備えないと。なにせ今日は今来た道を下るんだから。
飯を食べながら見るのは槍ヶ岳。最高の展望レストラン。ちなみに手前の岩山は前穂高の第2峰だそうです
アップ。人がいるでしょ。「すごい人がいるもんだ。」と感心してたら、Fジイも行ったことあるそうだ。すごい人なのね、Fジイ
穂高岳山荘も見えます
やや回復
11時、下山開始。
すいこまれそうな道です。上高地が近くに見えるんだけどね。でも1700mも下界だ。要所要所に気をつければ、そんなに怖くはありません。それより石を落とさないように慎重に歩いてます
顔がビビってるように見えるのは気のせいです、、、、、たぶん
30分弱で紀美子平に戻ってきました。15分休憩
11:45、いよいよ岳沢へ
このまると下に向いた矢印が重太郎新道の入り口、、、、
そしていきなりの核心部。
逆層のスラブと言うんですかね。谷川に向かって面が傾いています。すべっちゃうって、あぶないって。『この先遭難事故多発地域』の看板。濡れてたら事故が起きるだろうし、気を抜いたら乾いていても危ない。
へしゃげたはしごまで、あっという間に到着。
これを乗り越えて下ります。全行程でほぼ唯一の登り返しです
ふたたび転がりそうな道
ライチョウ広場に着きました。時刻は12:15.
眼下の赤い屋根が岳沢小屋。すぐに見えるでしょ?まあ直線距離は近いんだけどね、、、鳥じゃないから
上高地もしかり。下りは絶景がずっと見えてます
最難関を超えて落ち着いた顔の私
とはいえ、気が抜けないのが重太郎新道
ダイナミックフォトモードにて撮った前穂高山頂
同じく明神岳
そして上高地方面
アルピニスト気取りの元写真部
まってくれない元山岳部
切り落ちております。こんなばしょに道よくつけたな、、重太郎さん
尾根をゆきます。でもまあ重太郎新道は一般コースですんで、山ではこれぐらいは普通の範疇のようです
山では生き生きの元山岳部ポーズ中
振り返っておりますが、よくもまあこんなところを上り下りしてるな、おいら。
危ないじゃん。この重太郎新道は穂高から下山路として開拓されたらしいので、この下る向きが標準です。
西穂高方面のレスキューヘリはまだ飛行中。捜索しているのでしょうか。
12:45 岳沢パノラマに到着。山頂から1時間45分でほぼ中間点。
まだ中間点だってさ。登っているだけに、体がわかっております。まだまだあるよな。
このあたり、実は下に向かって傾いておりまして、本当に落っこちそうな気になります
言ってる意味、わかるでしょ。
さあ降下開始。鎖場は順番待ち
あまり間隔をつめると、落石が怖いです。
この部分以外は鎖を握らなかったのですが、この先で1箇所足場が見つかりませんで、鎖でおりました。鎖は使わないので基本らしいです。(岩場を3点支持が基本)
「この先事故多発」だそうです
う~~ん、急だ
めずらしく手袋着用。もう脚はヘロヘロ、踏ん張りがきかないのでハンドプレーキで降りております
最後の梯子まで来ました。山頂から3時間。ここも何故か事故が多いそうです。「最後のはしごだ!」って気が緩むからでしょうかね。
ここでぼくが降りているとき、横2mあたりを落石が落ちていきました。あぶね~じゃん、上の人。本当はヘルメットがあった方がいいのかもしれません。なにせ落とすのはだれか上の知らない人ですから、はしごの人はよけようがありません。Fジイいわく「ザックで受けろ」だそうです
あとは楽勝、、、、じゃないな。岩だらけ、斜めだらけ、急下りだらけ
あ~~まだか~~~って思ってあるいておりました
花畑の斜面まで来ました
花の例
でもつづら折れでなかなか着かないんだな
「見えてんのに!」と叫びたい軟弱者
まだかぁ~~~。草原の下部を通過中
やっとテント場に到着
ついた~~~~~~~~!岳沢小屋2泊にしておいて正解だった!
多くの下山の人は上高地まで一気に歩きます。すごいよね~、あと2~3時間は無理。(もっとも多くその人々は重太郎新道をのぼってないですけどね)
14時40分。5時50分に出てからの長い長い9時間弱の5kmでした(休息時間含む)。山頂では「小屋をキャンセルして、今日中に下界まで、、、」なんて二人で言ってたのですが、この時点ではあり得ない感じ。
チェックイン後にまずポカリで休憩
上高地からの歩数は24549歩。本日は13919歩(登り6019歩、下り7900歩)でした。
今日の部屋は新しい小屋の方です。倒れておりますと、、
Fジイの足裏マッサージの強制サービスが、、、
激痛&眠気打破
恒例のカップラーメンタイム。これがうまいんだ、汗かいた後はスープを飲み干せます。お湯付きで400円。
あらためて前穂高を望みます。よく行ってきたな、あそこまで。(普通です)
こちらは重太郎新道を見ております。草原を人が歩いているのが見えます。
山小屋の案内図。帰投してわかるのだが、このルートはすごい。
それにしても風がなくてよかった。雨が降らなくてよかった。
そしてコースを小分けにして中腹~山頂~中腹の軟弱コースにして正解。無事に帰れて各方面に感謝
まだ上高地、遠いもんな。
帰ったら、今度はFジイがダウン
一人で散歩していると、、、『満室。やむを得ぬ場合はこのテント泊』だそうです。軟弱者のみなさん、予約してここで泊まっちゃったほうが楽で楽しめますよ
本日の夕食は連泊用の別メニュー。このほうがおいしかった。ちなみに連泊は1000円引きでした
谷間は日が暮れました
岳沢小屋と穂高の山々
徐々に山の影に入ります
背後の前穂高岳にも、西穂側の稜線の山陰が投影されていきます
あそこまで登ったんだね、、、たぶん
暇だったのでミニチュアモードで小屋と前穂高
ちなみにこの眺望はヘリポートから
上高地
前穂槍に最後の日が
もう手持ちは限界
すっかり暮れたので寝ましょうか
7時15分で部屋はすでに消灯(小屋は8時半)。山の夜は早く、朝も早い。このあとすぐ落ちるように寝ました。
でも僕の朝はもっと早かった。3時ごろ、Fジイの寝言で起きました。 それで思い出したんだけど、今夜はペルセウス流星群の日でした。
「きてるよ、きてるよ」
寝言の意味は分かりませんが、僕にはペルセウス流星群が「きてるよ!」と聞こえ、起きだしました。一人でカメラとミニ三脚を持ち、防寒具を着て外へ
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満天の星空と前穂高の稜線。中央やや右下へ流れている短いのが流星で、中央から右上へのは人工衛星で
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同じく右下の木の影が流星です
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これは飛行機。でもきれいですね、岳沢の夜空。このあと冷え切ったので布団にくるまり再び寝ました。
さて明日は(というか今日は)歩いてのんびり上高地へ降り、帰宅します。それにしても、太ももの筋肉痛、きてます!きてます!
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