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子供の頃、時刻表や地図帳を見て自分の苗字の駅名や地名を見つけては大喜びをしていたのを覚えています。多分ぼくだけじゃなく、多くの人が同じようなことをしていたのではないでしょうか。行ってみたかったけど、もちろん子供には行けるわけもなく。自分の先祖とも関係ない偶然の一致でしかない『石田』という地名、大人になるに連れて興味を失っていった気がします。
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大学生になったころから海外にも行けるようになり、欧米の都市だけじゃなく当時の東側諸国や地球の裏側、最北端とか最西端とか砂漠の彼方の地の果てにだって行きました。まあまあ地の果てまで行った、、といってもそこも所詮は観光地。それなりに人は訪ねてきていましたし、やることは観光でしかない。そんな旅でした。
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ふと50歳という人生の節目でどこへ行こうかと思ったとき、なにのきっかけで「そうだ石田に行こう」と時刻表の彼方の夢を思い出しました。国内なのにただの駅。観光地じゃない駅だから、近いのに遠い『石田』への旅。これがいいんじゃないだろうかと。そこから『石田探し旅』は始まりました。
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探してみると駅名で石田と付く駅は6駅。北は東北、北陸、西は関西、九州までの6駅。短時間で早回りにはちょうどいい数です。バス停や地名や施設名まで入れると石田は多すぎるので、駅限定で石田探しの旅は決定です。五十路記念ですから12月の誕生日前後に行くのが筋ですが、実家の事情やら仕事上の都合とか50歳ならでわの理由ももあり1月にずれ込みました。
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両親に「ちょっと全国の石田駅に行ってくる。猫よろしく」と言うと母は「そんなの時間とお金の無駄よ。世界遺産とか回ってきなさいよ」と、ごもっともなご意見を、でも父は「面白そうだな、写真見せてくれな」と。そうか、母は石田に嫁に来ただけだから愛着とかが違うのかな。確かに石田に行ったって何にもならないけど、それはそのロマンというやつ。理解してもらえなくてもいいのだ。
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で、探してた『石田』は見つかったのかって?よく若者が言う「自分探しの旅」のしゃれで 「石田探しの旅」と言ってますが探してたわけではありません。でも旅の直前に、豪雪のため急遽周り順を変えてでも旅立ち、それでも結局は豪雪の新潟で立ち往生して断念しそうになったり、でも結局腹をくくって山形に行ったり、最後にJRの払い戻しポリシーに納得行かず交渉したり。そんなことをやっているうちに一つ理解したのは、そういうところが自分であるのだなと。人によって違うと思いますが、ぼくは「挑戦する」「でも無理しない」「でも諦めない」あたりが自分なんだと思います。これまで50年も、これからの50年も。
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ご参考までに石田の旅のご予算(モデルコースの場合)
旅の交通費:106,450円
旅の交通費:106,450円
- 鉄道:90,540円
- タクシー:15,200円
- バス:710円
さてさて次の50年はどうなるのかな。まだ前へ進みますよ。多少の困難にぶつかろうと少々痛い目に合おうとも、あきらめず少しずつでも前にね。最後に留守中に猫の面倒を見てくれた両親と、そして観光も美食もなにもない石田の旅日記を最後まで愛読してくれた、石田なあなたや石田でないあなたに感謝です。
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