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2015/08/13
悪沢岳登山 旅後記
「1位富士山、2位北岳、、、、6位悪沢岳。悪沢、、、なんとも悪そうな名前だ。どんな悪い山なのか、こいつは登ってみないといけないな。」
日本第6位の山が、そんなおどろおどろしい名前と知った時にそう思った。もっともそれは10年ほど前、日本の山を高い方から登ろうと思った頃の事。それから度々案内役のFジイに悪沢岳に連れて行ってくれと言うと、「まだ早い。初心者の行く山ではない」と。
なんでも南アルプス南部は北アルプスと違い初心者向ではないのだそうだ。アプローチの遠さ、標高が低い登山口、長く急な登山道、少ない設備、巨大な山々、逃げ場のない縦走路、、、、etc。南アルプス南部は素人を寄せ付けないタフさがあるのだという。
そして今年、ついに6位の番が来た。気づけば9峰の3000mを登っていたので、そろそろ南アルプス南部も許されるという事か。でも問題は立ちふさがる。トレーニングで登った丹沢でFジイが2度も暑さに負けて敗退をした。奴は体重増のせいか膝も不安だという。今年はガイド役のFジイの方が不安を抱えてしまった。
当初の計画は悪沢岳~荒川中岳~赤石岳と3峰の3000m峰を山中3泊で縦走。日程に余裕のある縦走としては楽なルートだった。それがやがて悪沢岳ピストン(往復)だけのルートに変わった。Fジイ以外にも、僕の体力にも不安があった。出発2週間前に10年ぶりに高熱で倒れたのだ。そしてトレーニング不足。計画は『今年は南アルプス南部入門編、悪沢岳のみの登山』に決まった。
歩き始めて思ったのは、7時間の登りでも8時間かけれるなら登れるものだ。南アルプス名物の登り初め地獄の急登も、北岳で体験済みで覚悟はあったのでなんとかなった。2日目の小屋と山頂往復ものんびりと楽しめた。懸念された3日目の長い下りもコンプレッションサポータのおかげで(Fジイはタイツ)、思ったより傷まなかった。あれれ、南アルプス登山、楽しいぞ。
北アルプスに比べると、圧倒的に人が少ない。それでもキャパが少ないので満員の山小屋だったがあまり不快ではなく、そこで出会ったベテラン登山客との会話も楽しかった。人が少ないからなのだろうが、何故かみなさんフレンドリーで気軽に話をする。でもみんなに 「え、縦走しないの?もったいない。」とあきれられたけど。初心者に毛が生えたのが紛れ込んですみませんでした。
僕の中で何かが動いているのが困りものだ。ここから先へ行くと山屋の領域へ歩みこんでしまいそうだ。僕は実は海の男であって、旅のつもりで山に迷い込んだだけなのに、山日記になっちゃったらどうしようか。そんな不安もあるが、とりあえず無事に悪沢岳に登って楽しく帰ってきましたとさ。最後に今年もガイド役の山男Fジイに感謝。
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(追記: 翌年縦走リベンジしました。赤石岳悪沢岳縦走の目次はこちらです)
2015/08/11
悪沢岳Day4: 下山だ、無事下れるかな?
おことわり
これは軟弱者の筆者が、友人のベテラン山男に連れられて山に行く旅日記です。正確な山行記録ではありません。大げさな表現や演出、また記述に不正確な部分もございます。 実際の登山計画の参考には山岳関係のサイトをおすすめします。あくまでも山旅の雰囲気を楽しむ目的でお願いします。なおこのルートは一般ルートですが距離も長く途中の施設も少ないため、経験の浅い人だけのグループには向きません。山は自己責任ですので、ご了承ください。
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4:45起床。ちょっと寝坊して空はすっかり白んでおります。昨夜は星空と富士山を再撮影しようと思ったのですが、トイレに行ったときには雨だったり霧だったりで未達成。仕方ない
今も少し靄がかかり、クッキリとは見えませんが富士山
日の出には間に合いました
昇ったような登ってないような、、、
昇ってますね。今日は下山日。無事に下れるように祈願。
ここで朝食の声がかかりました
5時の朝食です。今日は食欲がありません。でも食べないとね
朝食後外に出るとすっかり日が昇っていました
朝日に照らされ歯を磨いてリフレッシュ
歩数は54659歩から
今日も今日とて遅い出発。小屋はほぼ空っぽ。まあ早く降りたって仕方ない。14時の最終バスに乗れればよい。
ここで新兵器登場。世間では常識になりつつある、機能性サポーターで下山時の膝を保護。初なので半信半疑。膝が不安の山男Fジイは、機能性タイツで脚全体を保護するようです。Fジイも初投入で半信半疑。はたして効果のほどは
朝ザックを背負うのが嫌なんだな。水も満タンですごく重く感じるから。
さあサポーター君とタイツ君、元気なまま下山できるかな。コースタイムは標準で4~5時間(ガイドによって変わる)ですが、小屋の人に聞いたところ登り時間から推測して僕らは5~6時間は見ておけとのこと
5:52、下山開始。6時間として、12時前には下山予定
さらば千枚小屋。次来る時は縦走だからね
それなりに山男に見えるな、おれも。なんかこの旅で少しだけ自分の中で登山に目覚めた気がしました。いまさらって話もあるけどね。
椹島の登山口を目指してゆっくりおります
今度は7枚目の看板から。小屋は2600mなので、もう100m降りた?ちょっと早すぎる気が
しばらくはやや急な下り
靴ひもの締め直し。下りはキツメに縛ります
本日も朝コーヒー。本当は本物が良いのに。山小屋の朝ごはん、トーストとコーヒーとか選べるなら僕はそっちを歓迎
荷揚げロープウェー付近を通過。ここまで25分
木馬道(きんまみち)の起点だそうです。最後は御柱祭りみたいに派手に川へ落したのかな??
明治時代の林業の人は大変だったろうなと思います。設備も装備も貧弱で、ましてやコンプレッションタイツなんかなかったのに
駒鳥池まで35分ほどできました。案内によるとあと4時間。
駒鳥池です。池まで降りる元気はありません
林間に千枚小屋が見えています。忘れものとかあったら困るんね
このあたりはだらだらとした下りが続きます
Fジイ、まだ元気
山頂部が見えました。中岳?前岳?
降りても降りても同じようなシラビソの森
飽きるというのもあわかります
再び山が見えました。どこ?赤石?
Fジイ「え?わかりません」 既に余裕が無いようで、反応鈍し。
ここに見晴岩への分岐があります。後ろから追いついてきた女性が上へ行かれました。「すぐよ」と言うので、せっかくなので登ります。
確かにお見事。Fジイにおいでよと言いましたが、余分な体力は使わないそうで下で待機。う~ん、やばいかFジイ。
ちなみにここ林道に接続しております。地図で見れば一目瞭然ですが、登山道と林道は見えませんがほぼ並列です
7:38、蕨段に到着。行きにお弁当を食べた場所です。ざっくりと予定タイム通り。案内板ではあと3時間ですが、我々にはもう少しかな。
山男Fジイ、マイペースを崩さず下山しております。今回は私の方が余裕があります。
8時、目安ですが2000mまで下りました
はらへった~~、とまれ~~
全然止まらないFジイに嘆願して、清水平で休息。今日もお弁当はおにぎり。ここで1個だけ食べました
再び下山開始。トラバースしながら高度を下げます
落石注意の区間
きゃーーーー!うそです。
この区間、ながくて全然高度が下がらないので嫌いです
それに斜面と濃い森のせいか、風が抜けない
やがて林道を横切ります
1度目の横断。もう1回横切ります
9:20、ちょうどいいベンチがあったので、ザックを降ろします。3時間半歩いてきました
残りのおにぎりをむさぼります。普段は座らないFジイが座っておりますので、きてるようです。メシ食って元気を取り戻しましょう
15分ほど休んで下山再開
なにせ昨日、今日の状態次第では山引退をほのめかしているFジイ。あまり傷まずに下山しないと、来年から僕は単独登山になっちゃいます。
真剣ですが、膝自体は痛くないようです。コンプレッション・タイツの恩恵でしょうか。でも油断禁物。
ストックと言う兵器も下山には特に有効です
小石下通過。あと90分。
このあたりから断続的に急な下りです
ただし日のさす気持ち良い森の中です
谷に転がり落ちるような斜面をつづら折れで下ります
10:20 最後に階段を降りると再び林道
林道を歩けば楽ジャンという悪魔がささやきますが
下で厳重なゲートふさいでいるので歩行もできません。
林道を少し歩き最後のセクションへ。ここがキツイところです。
崩落した旧登山道の代わりの道は、やせ尾根の登り返しがあります。そして長い長い急な下りが連続します
キノコは豊富
まず急な下り。
森が濃く、暑いです
ここで下りが終わり、う回路の登り返しが始まります。
けっこう険しい
脚がつかれているときの痩せ尾根は要注意です。Fジイはこのために膝を温存してきました
登りと言うのは下りよりは安全なので、そういう意味ではいいのかもしれません
写真より実際は急です
一部は手を使ってよじ登ります
キツかった。
鉄塔まで来ました
Fジイ、心配していた難所を無事に通過し余裕があるようです。プラティパスのスポーツ飲料2Lを飲みきったようで、ここで再びパウダーを溶いて作ってます。
抜きつ抜かれつの登山者の方も休んでおりました。みなさんはバスの時間を見ながら余裕で時間調整中。軟弱なわれわれは必死で全速で下山中
11:15、いよいよ最後のセクションの急な長い下りに挑みます
しばらくは森の中の下りですが、、、
やがて猛烈な下りの連続に
1/7 標高1300mの看板。あと200m下るだけ
でもここがキツイ。妙な岩稜帯だったり
斜面側に傾いた道だったり
落ち葉で滑りやすいし
ここが崩落個所。来れさえなければ最後のセクションは大分楽だったはず
崩落箇所を過ぎると、あとは斜めに吊橋めがけて下っていきます
支流の水面も見えてきました
僕の記憶では、ここは行きは崩れてなかったきが、、、
南アルプス南部ではここは銀座通りのようなメイン登山道。でもこの程度の整備です。必要にして十分ですが、快適北アルプスとは大きな違い
そして待ちに待った吊橋です
これをわたれば降りたも同然
よく考えると怖いね、この吊橋
河原を降りてゆきます
2日前にみた、緑の橋が見えてきました。あの橋のたもとが厳しい登山道の終点
そういえば、最後の最後も微妙に嫌な感じだった
慎重に狭い崖沿いの道をゆく山男Fジイ。はたして引退宣言はどうなるのか
Fジイ、ぜんぜん待ってくれません。疲れているようです
これが最後
登山道終了
正直言うと、下りはあまり辛くなかった。膝も何ともない。これって完全にサポーターのおかげです
林道を登り返します。登りはつらい。
でも気持ちは晴れ晴れ。縦走じゃないけど、悪沢岳にちゃんと登って無事降りてきましたから
でもなぜか、体力の限界で今季限りの引退表明中のFジイの方が歩みが速いという不思議事例。余裕なのか・・・
復路も傾斜の楽な車道を行くというイージーモードを選択
バスがきましたが、時間はまだまだ余裕
椹島ロッジに到着
時刻は12:27、所要時間は6時間半ほど。標準コースタイムより90分ゆっくりおりました。ちなみに要した歩数は25635歩。
Fジイ、それほど傷んでない様子。膝もそれほどでもないらしい。
俺: それでFジイ引退するの?
Fジイ: タイツのおかげでまだキャリアが続けられそうです
最終ではなく13時のバスにのれます。予約は売店で小屋のレシートを提示してします。一応先着せいですが、可能なら増便するとのこと
3台バスが出ました。1台は団体の貸切車。1号車はバス停にむかい、2号車は駐車場へむかうそうです
行きよりは空いていますが、膝に重いザックがあることに変わりはない
林道を1時間揺られます
すごい法面工事。人力なんだな
畑薙大吊橋まできました
長い長い吊橋です
ゲートを通過
運転手さんが何やら詰所で書類を書いてます。林道東俣線は厳しく管理されているようです
14:06 臨時駐車場に到着。3日ぶりの娑婆です
車に帰ってきました
ここからは自家用車で下界へ下ります
下界へ帰るその前に、礼儀と言うものがあります。われわれは臭いのです。白樺荘で入浴して山の垢を落とします
白樺荘はきれいですよ
妙に風呂が混んでいると思ったら、東京発着の登山バスも復路はここで入浴休憩するようです
誤算だったのは持参した電気髭剃りが壊れていて不精髭
毎日アルペン号です
我々は一足お先に下界へ
井川ですが、少々雨がぱらつきました
天気は下り坂。下山しててよかった
帰りのルートは白樺荘で聞いた県道60号から県道189号を通るコース。k路絵が一番広いそうで、バスはこのルートだとか
途中にきれいなトイレはありましたが、コンビニの一つもありませんでした。
初コンビには新東名のICすぐそば。ここでカップヌードルを選択。千枚小屋で食べたかったのに売ってなかったし、もっていかなかった。ミニですがスープまで飲み干して塩分補給
つづきましてカフェイン補給
新東名で清水SAへ。この先、秦野中居あたりから渋滞のようですので、先に飯を食う事に
豚丼をどーんと
食後のコーヒーは、、、江の島。地元かよ。
ここからはオイラの運転。Fジイは渋滞が嫌で変わったようです。脚がいたんじゃないのかよ。これより写真がないのは自明の理
ただいま~~21:20 実家到着~~
「おかえり!」
ウーのお出迎えです。
ほれ、悪沢岳のネズミだ。緑色で悪そうだろ。
「、、、、、」
「気に入らないな」byウー
85602歩で今回の旅は終了です。連れて行ってくれた山男Fジイと、コンプレッションタイツに感謝です。
旅後記とギャラリーものせるぞ